ふたりの記憶を指輪に刻んで
先日、修理のためにお客様よりお預かりした指輪を見たアトリエスタッフの一人が、こんなことを言いました。
「すごく美しいですね」。
それは、何年もご着用され、小さなキズが重なり、経年による風合いの変化が見られる指輪でした。


まだ入社したばかりで、新しい指輪しか見たことのなかったスタッフ。
お客様のお手元でじっくりと時間をかけて、味わい深く育った指輪の魅力に感動したようです。
日々身につける指輪は、紡いだ時間の分だけ、風合いが変化してゆきます。
日常の中で増えてゆく小さなキズは、一つひとつがふたりで重ねた時間の証。
ライフスタイルやご着用期間によって変化の現れ方も異なるため、お預かりする指輪はそれぞれに個性があり、おふたりの気配をまとっているように、とても表情豊かです。
そんな経年による風合いの変化について、表面仕上げの種類とともに一部ご紹介いたします。
------- つや消しの指輪 -------

ヘアライン仕上げなど、マットな質感に加工した指輪です。
つやを消すことで、落ち着いた穏やかな表情に仕上がります。
つや消しの指輪は、日常生活の中で、少しずつ光沢が見え始めてくるのが特徴です。
マットな質感と光沢の艶感が重なり合うような、奥行きのある風合いに変化します。
つや消しとも鏡面仕上げとも異なる、時間をかけて育てられた指輪にしか見られない、趣のある佇まいが魅力です。

Current M幅 新品に近い状態

Current M幅 少し艶が出てきた状態。テクスチャーや形状に奥行きのあるデザインでは、より味わい深い陰影が生まれます。
------- 鏡面仕上げの指輪 -------

表面を磨き込み、美しい艶を引き出す鏡面仕上げ。
光を反射して、キラキラと華やかに輝きます。
鏡面仕上げの指輪は、日常生活の中で、少しずつ光沢が落ち着いてくるのが特徴です。
瞬くように反射していた光も徐々に柔らかく、穏やかな輝きに。
キラキラと輝くペアの指輪を初めて身につけたときの
嬉しくて、慣れなくて、くすぐったい気持ち。
長い時間を重ねて気づいたら、
いつの間にか以前よりも優しい表情をした指輪が
まるで自分の一部のように馴染んでいて。
そんな風に、おふたりで移ろいを愛でる時間が生まれるのも、経年変化の魅力です。

いかがでしたか。
だんだんと光沢が出てくる「つや消し」とだんだんと光沢が落ち着いてくる「鏡面」。
お互いに異なる仕上げで選んだ指輪も、気づいたらおふたりのように
「似たもの同士になっていた」
なんてことも。
おふたりの時間と想いが重なって、いくつもの記憶が刻み込まれた世界に一つだけの指輪。
ぜひ、風合いの変化もおふたりで見比べて、お楽しみいただけますと幸いです。
------- メンテナンスについて -------
表面の仕上げを「新品の頃のように戻したい」と思われることもあるかもしれません。
そんなお客様には、アフターサービスにて「仕上げ直し」または「新品仕上げ」をご提案させていただきます。
『仕上げ直し』はつや消しの指輪には「マットのかけ直し」、鏡面仕上げの指輪には「磨き直し」をさせていただきます。
『新品仕上げ』は、「仕上げ直し」の工程に加え、仕上げ直しだけでは取りきれないキズの修正をさせていただきます。
いずれも、指輪の強度に支障をきたすことのない範囲でのお直しをご提案させていただきます。
メンテナンスをすることで、初めて指輪を身につけたときの気持ちを思い出したり、ちょっと背筋を伸ばしたり。
またここから、少しずつ、おふたりらしい指輪に育ってゆきますように。

*画像の指輪は全てアトリエのサンプルです。
*変化の現れ方はお客様によって異なりますので、予めご了承ください。
*「仕上げ直し」「新品仕上げ」以外のお修理であっても、工程上、仕上げ直しを施してお返しさせていただく場合がございます。また、お預かりした指輪の状態によって、指輪に負担がかかりすぎる場合は、ご希望のお直しができない場合もございますので、あらかじめご了承ください。
PERCH atelier